
2021年9月8日(水)、5回目となる「混雑統計Ⓡ」のオンラインセミナーが開催され、
IoT第二事業部の川上 拓郎さん(以下 川上さん)が登壇しました。
今回は「位置情報ビッグデータを用いた観光分析 -地域内の周遊行動について-」と題し、沖縄県における来訪客の分析事例について約120名の参加者に紹介しました。
本ウェビナーの内容は以下になります。
※「混雑統計Ⓡ」のサービス概要、調査・集計方法についてはこちらをご確認ください。
位置情報データを用いた観光周遊分析
データ設計について
観光周遊分析を行うにあたって、まずは「個別ID=だれが」「測位点=どこに」「タイムスタンプ=いつまで滞在したか」という3つの観点が必要となります。
これにより、ある程度の観光地の分析・調査が可能となります。

この3つの観点に加えて、『観光客の定義付け』と『調査項目』の決定を行うことで、より詳細かつ正確な分析へとつながっていきます。
観光客は以下のような「場所・滞留」「期間」「居住地」「旅程」という4つの観点によって定義付けができます。

次に調査項目の決定について、「混雑統計Ⓡ」で収集可能なデータの項目としては以下の8つが挙げられます。
これらのデータ項目を組み合わせることで、これまで掴みにくかったリアルな旅行実態を明らかにすることができます。
今回のテーマである沖縄県における来訪客の分析事例においては、「立ち寄り場所」と「周遊実態」に焦点を当てました。

このように「混雑統計Ⓡ」では細かなデータ設計が可能なため、より詳しい、正確な分析へとつながります。
観光周遊分析について
では実際に、観光周遊分析はどのように行われるのでしょうか?
観光調査においては、「地域での観光施策の最適化を図るためにはどうするか」といった観点のもと、人流データを活用したいというニーズが多くあります。
地域内に訪れた観光客がどういう回遊行動をしているのか、どのスポット間の繋がりが強いのかをキャッチすることで、観光客の行動実態をより深掘りして掴むことができます。
「混雑統計Ⓡ」では、「スポットごとの回遊パターン・滞在組み合わせ別」で人数を集計することにより、回遊行動の実態を具体的な人数として表現することが可能です。
回遊パターンはRT(ラウンドトリップ)という、軌跡をカウントする方法によって導き出せます。
この回遊パターンごとの人数を集計していくことで、利用者が多いパターンはどれか、どのスポットに来訪者が多いか、などを知ることができます。

分析結果は、まずは数字の羅列によって表現されます。
よりイメージを掴みやすくするために、外部可視化ツールである「Tableau」に落とし込んでから結果を提供することも可能です。
沖縄県における来訪客の分析
それでは、今回のメインとなる沖縄県における来訪客の分析についてです。
調査概要は以下の通りです。

スポット別の来訪について
瀬底ビーチ

図の右上にある月別推移を見ると、8月に来訪者がかなり増える傾向にありました。
また右下の来訪者の年代を見てみると、30~40代などファミリー層での来訪が多くなっていることがわかります。
アメリカンビレッジ

アメリカンビレッジには10~30代の若年層が来訪していることがわかります。
屋内施設であることから、天候に左右されないため、月ごとの推移に大幅な違いはありませんでした。
9月の台風上陸のころ、ニーズが高まる傾向も見受けられました。
他のスポットにおいても9月は台風の影響で来訪者が減ったこと、また年間を通して瀬底ビーチ・アメリカンビレッジと同様に関東からの来訪が多いことが挙げられました。
周遊分析
次に周遊分析についてです。
周遊を調査することによって地域内での”ゴールデンルート” を導き出すことができます。

図の右上、沖縄本島内でのスポット4ヶ所間の周遊組み合わせランキングを見てみると、1位は「アメリカンビレッジ→国際通り→首里城→沖縄美ら海水族館」のルートでした。
空港から近距離の南エリアに立ち寄ってから定番の国際通りを経由し、最後に本島上部の美ら海水族館へ足を延ばすという流れが定番のようです。
図の通り、「Tableau」では地図へのプロットも可能なため、スポットごとの距離感や観光客の足取りがどこまで伸びているかといった情報もすぐに確認することができます。

ちなみに、国際通りを含まないことを条件としたときのランキング1位のルートは「ひめゆりの塔→平和祈念公園→首里城→沖縄美ら海水族館」となりました。
こちらも空港から近距離のスポットから本島の北へ向かうというコースで、流れが一致していました。
その他、離島内のスポットの周遊についても紹介されました。
セミナーを終えて
最後に川上さんより、セミナーを終えてのコメントをいただきました。
川上さん:
直近のお引き合いの中ではアフターコロナを見据えて、自治体から「観光調査を人流データの活用によって実施したい」というお引合いを多くいただいております。
特に自治体の担当者の方からは「地域内にどれだけの人が何人ぐらい来ているのか?この基礎調査もままならない状況。さらにはスポット間の人の往来もみられるとなおいい。」というお声もよく耳にするため、「観光調査 – 周遊分析 -」をメインテーマとして扱ってみました。
まずは「スポット別の来訪実態」を調査できるものをご提供することで、スポットごとの実態を掴んでいただき、「周遊分析」でスポット間の往来ないしは繋がりを掴めるようにしております。
「人流」というキーワードは最近では聞き馴染みが出てきましたが、いざデータの業務上活用するとなるといくつかハードルが出てきます。
その際に「Tableau」でデータを可視化したダッシュボードはデータの”見える化”という点で非常に好評で、初めて人流データを扱われる方へもグンとハードルが下がる印象があり、今後も継続していきたいと思っております。
アフターコロナ、ウィズコロナを見据えて、今後も自治体での観光調査は引き続き行われていくと思うので、よりよいご支援をしていきたいです。
また、ユニークな事例はウェビナー等にて共有をしていけたらなと思っております。
